映画 ドリーム ※ネタバレあり
夢を諦めない女性たちの、勇気と感動の実話
あらすじ
1962年に米国人として初めて地球周回軌道を飛行した宇宙飛行士ジョン・グレンの功績を影で支えた、NASAの3人の黒人系女性スタッフ、キャサリン・ジョンソン、ドロシー・ボーン、メアリー・ジャクソンの知られざる物語を描いたドラマ。ソ連とアメリカの宇宙開発競争が繰り広げられていた61年、米バージニア州ハンプトンにあるNASAのラングレー研究所に、ロケットの打ち上げに必要不可欠な計算を行う黒人女性グループがいた。なかでも天才的な数学の才能をもつキャサリンは、宇宙特別研究本部の計算係に抜てきされるが、白人男性ばかりのオフィス環境は、キャサリンにとって決して心地よいものではなかった。一方、ドロシーとメアリーもそれぞれ、黒人であるというだけで理不尽な境遇に立たされるが、それでも3人はひたむきに夢を追い続け、やがてNASAの歴史的な偉業に携わることとなる。
感想
★★★★
この実話に勇気をもらいました。
様々な困難が立ちはだかろうとも仲間と共に夢を諦めない姿。主人公達の勇気ある行動に胸を打たれました。
主人公達の試練
当時、依然として白人と有色人種の分離政策が行われていた時代で、白人と非白人で分けられた様々な弊害が彼女達を苦しめます。
もちろんトイレもその一つ。
特に印象的なのが、主人公キャサリンが、職場でトイレをするために、往復1.6キロ、40分かけて行くシーン。近くにあるトイレは白人用しかなく、非白人用のトイレは遠くにあるため、時には大雨に見舞われながらもキャサリンは全力疾走します。
この状況どうにかしてほしい!!
職場のコーヒーも白人用と非白人用に分けられる始末。しかも非白人用のポットには一ミリもお湯は入っておらず…。
こんないじめだ!て気持ち悪くなるほどの憤りを感じても、当時は国がそれを認めていた。そういう時代。今じゃ考えられないが、そういう教育を受けてそれを受け入れることが当たり前だった。
それでもひたむきに生きるキャサリン達をずっと応援していました。
人種差別なんかしてるから有能な人たちの才能を見出せず、ソ連に先越されたんだぞ!とか鑑賞しながら内心怒り心頭してました。
主演3人がNASAでそれぞれの地位を確立していく姿
キャサリン・ジョンソンの場合まずキャサリンは、直属の上司に恵まれていましまね。その間に入ってる野郎が中々頭固くてイライラしましたが、その上司はキャサリンの才能をかってくれたし、トイレ問題やコーヒー問題を解決してくれましたね。
計算係の枠を超えて、キャサリンはNASAに貢献していくのですが、宇宙特別研究本部での仕事も新たな計算機械、IBM登場により元の部署に戻ることになります。
ドロシー・ボーンの場合ドロシーは管理職の道を進もうとしていましたが、上司に問いただしても、気にも止めてくれませんでした。やがてIBMが導入されることになり、彼女達の仕事がなくなるピンチにもドロシーはチャンスに変えてやってのけます。時代の変化を察知して先を見通す、新しいしことを勉強するドロシーのひたむきさ、また自分だけではなく仲間達の事も考えながら行動する彼女の素晴らしいところでした。
メアリー・ジャクソンの場合メアリーははエンジニアを志しているが、黒人である自分には叶わぬ夢だと半ば諦めていた。上司の勧めでエンジニアを目指すことを決意しますが、それに必要な資格が白人しか通えない高校でしか取れないという事実を知る。
普通なら諦めてしまいます。法がそう定めているなら絶対無理だと。しかし彼女は法律を変えるために立ち向かうのです。「前例がないなら私が作る」と。
強すぎる!不可能な事って自らが決めてしまうことが多くて自分自身で可能性を狭めてしまっているんだと本当思います。社会や時代の所為にしがちですが、彼女達を見ていると本当に恥ずかしくなる。もっと頑張ろうと勇気をもらいました。
人種は関係ない、機械には負けない
ラスト、ロケット発射前に宇宙飛行士のから、キャサリンが計算して間違ってなければ飛ぶという発言により急遽キャサリンが計算をする。そして、は言うのです。機械より人間の方が安心できると。
いいセリフです。
彼にとってキャサリンは、有能で信頼できる人物なのです。人種や機械の壁を超えるキャサリンの技術の賜物です。
久々にど直球の良いヒューマン映画を観ました。邦題の「ドリーム」私は好きです。彼女達の夢そのものが映画に反映されていたから。