映画「アメリカン・アニマルズ」※ネタバレあり
普通の大学生が起こした、普通じゃない強盗事件
あらすじ
2004年に4人の大学生が時価1200万ドル(約12億円相当)のビンテージ本強奪を狙った窃盗事件を映画化。ケンタッキー州で退屈な大学生活を送るウォーレンとスペンサーは、くだらない日常に風穴を開け、特別な人間になりたいと焦がれていた。ある日、2人は大学図書館に保管されている時価1200万ドルを超える画集を盗み出す計画を思いつく。2人の友人で、FBIを目指す秀才エリック、すでに実業家として成功を収めていたチャズに声をかけ、4人は「レザボア・ドッグス」などの犯罪映画を参考に作戦を練る。作戦決行日、特殊メイクで老人の姿に変装した4人は図書館へと足を踏み入れ……。
感想
★★★☆☆
これ、実話なんだ。
またまた予備知識を入れずにみると起こる最近の現象。笑
ポスターや予告のポップでかっこいいイメージとは異なり、実在の本人たちも登場するから、「世界が仰天!」の豪華版みたいな、ドキュメンタリー映画のようでした。
強盗事件を計画する過程はまるでフィクションのような、青年たちのやんちゃな冒険心がこころくすぐるオーシャンズシリーズのような感じ。
それに乗ってしまいそうになるが、「これ実話なんだよね…」と思っては、心配になる。
どんどん計画が本格化し、現実味を帯びてくる。後戻りできない、でも怖い、というような人生の選択に迫られる辺りから妙にリアルで。
「もしこっちを選択したらどんな人生が待っていたのだろう」しかしそのリスクが高すぎる。
一度、強盗事件は失敗に終わる出来事も、やはりノンフィクションを感じさせずにはいられない、ハラハラ感。この青年たちはどうなってしまうのだろうかという不安。
そして事件は起こってしまった。
人を傷つけてしまったのだ。
やってしまった…。
これはエンターテイメントではない。教訓のドキュメンタリー映画だ。
人は今の人生を変えたいと思ったとき、この日常から逃れたいと思ったとき、非日常という刺激的なものがほしくなる。ただ、それを理由に間違った行動をとってはいけないということ。
危険を冒してみたい、ドキドキ感を味わいたい、生きている実感を味わいたい。
方法はさまざまであるが、罪を犯してはいけない、人を傷つけてはいけない。
道徳的な話ではあるが、人として間違ったことをしてはいけないという教訓の映画である。
本人たちが出演し、どういう思いでこの映画と向き合ったのだろうか。
あの出来事を映画として、世の中に公開する。知らなかった人たちが自分たちのことを知るようになる。しかもそれは名誉ある栄光なことではなく、不名誉とも言わざる負えないこと。
これは、女性では語れない。男性がみて、男性同士で語ってほしい。それをかいつまんで聞きたい自分。そんな作品。