映画「町田くんの世界」※ネタバレあり
この世界は悪意に満ちている。でもこの世界には町田がいる。
あらすじ
運動も勉強も出来ないけれど、すべての人を分け隔てなく愛することのできる町田くん。そんな“人が大好きな”町田くんが、“人が大嫌いな”の猪原さんに出会ったことで、初めて“わからない感情”に向き合うことに。そして、まわりのすべての人を巻き込んで、驚天動地の物語が動き出す!
感想
★★★★☆
沢山笑って、ほっこりする。町田くんと出逢った人は彼に翻弄されながらも救われる。
個人的には猪原さん役の関水渚さんが、町田くんに恋をしてどんどん可愛くなる様にきゅんきゅんした。恋をすると可愛くなるってこういう事が!て笑
町田くんは神様かもしれない
誰にでも優しくて、困っている人を見ると助けに行く。これは神さまです。でも見た目は普通の高校生です。しかも普通に生活しています。目に見えます。
つまり神様の性格を持ちながらも、凡人といっしょに普通に生きているもんだから、好きになっちゃう人はいるし、変態って思う人はいるし、あれか仮面の姿だと思う人だっている。
でも町田くんと関わった人は救われる。
世の中は悪意に満ちている。人は人の不幸を喜び、自分の自尊心を保とうとする。
という問いかけとは反対に、町田くんの世界には一切ない。
「君の見える世界には、悪意のある人間が見えないのか!?」と聞きたくなる気持ちはとても分かる。世の中善人ばかりではない。たた悪人だけでもない、その両方が入り混じるのが人間臭さといういうものだ。
たぶん町田くんは人の中にある善の部分を最大限に呼び起こす力を持った人間なんだろう。だから町田くんといると善人になれる。
やっぱり神様なんだ。
神様は恋愛できるのか
誰にでも優しい人間は恋愛においては致命的たったりする。人は色んな人に好かれたい欲求よりも、自分の好きな人に好かれたい欲求の方が強いからだ。
頭をぽんぽんするのは好きな人にする行為だと言われても、子供には男女問わず好き嫌い問わず頭をぽんぽんするだろう、動物も然り。
あれ、じゃあ何歳から頭をぽんぽんするのは好きな人にする行為になるんだ?
私まで分からなくなってきたぞ。定義もないし、誰から教わったわけではない。
あら不思議。でも思春期の子に誰でも頭をぽんぽんしたり、出逢って間もない人を、大切な人というのはおかしな話だ。という事だけはわかる。もう感覚の域だ。
この感覚を持ってなければどうしようもない。
町田くんはそれを持っていないかもしれないとも思えてきた。
しかしそうでもなかった。
町田は神様のような人間であった。
それは初めて「恋」を知ったから。
恋という感情が町田くんにはあった。
猪原さんを好きになり、周りが見えなくなった。他の人よりも猪原さんを優先したくなった。
あ、町田くん、それ共感できるよ!
なんか人間臭くなってきた。
初めて知る感情に、だいぶ混乱している町田くん。
「好きな人ってなんですか?!!」
でも町田くんは町田くんだ。
きっと猪原さんはこれからも町田くんにイライラすることもあるだろう。
栄さんは「おい町田」と言っては叱咤するだろう。
でも町田くんにとって猪原さんは特別な存在になった。
この先の町田くんの行く末が気になる。
町田くんの世界は夢か現実か
風船で浮くシーンはファンタジー。
あれ、町田くんはプーさんなのか。
猪原さんの夢かと思いきや、後半風船で浮遊しながら猪原さん探すシーンは、登場人物たちも肉眼で見ている(かなり驚いているが)
しかしスマホに集中し、周りをシャットダウンしている人々は気づかない。町田くんがプカプカ浮いている様を。
んー、そんな世界です。町田くんの世界は。
贅沢過ぎる脇役
町田くんについて語りましたが、出演してる役者の皆さまが、とても豪華で、贅沢なんです。
ちなみに、キャラクターとしては栄さん役の前田あっちゃん良かったな。絶妙なバランス。町田くんにつっこむシーンは最高でした。
あと、太賀さんの役とっても好き。町田くんに救われた時のシーンが好き。正面のショットもなかなか心に刺さる。
町田くんを助けようと全力疾走する岩田がんちゃんと太賀さんも、いけー!て気持ちが溢れて好き。
「わからない事があるから、この世界は素晴らしい」
みんな、幸せになってくれ。
と願いたくなる、そんな映画でした。