映画「スリー・ビルボード」※ネタバレあり
3つのビルボードと3人を取り巻く怒りの行く末とは
あらすじ
米ミズーリ州の片田舎の町で、何者かに娘を殺された主婦のミルドレッドが、犯人を逮捕できない警察に業を煮やし、解決しない事件への抗議のために町はずれに巨大な3枚の広告看板を設置する。それを快く思わない警察や住民とミルドレッドの間には埋まらない溝が生まれ、いさかいが絶えなくなる。そして事態は思わぬ方向へと転がっていく。
感想
★★★★☆
これ、大人が面白いって思える作品だと思いました。ミステリーでも復讐劇でもない、人間の心の変化を克明に描いたヒューマンドラマでした。思っていた展開と違いましたが、どんどん引き込まれてあっという間にエンディングを迎えました。
淡々と進んでるようで作り込まれている
設定上、主要キャラクターに犯人や悪者がいそうな作りなんですよ。でもいなかった。また、一見主人公と対峙する人が悪者かと思いきや、実はそうではなかった。(まぁそもそも主人公も善人とは言えないけれども)こっちが勝手にミスリードしただけですけど、予告観たらそう思わずにはいられない、完全に作り手に導かれましたね。
サスペンスのようなヒューマンドラマ
昔なら起承転結がはっきりしている映画を好んでみてましたし、学生の頃に観てもこんなに良い評価にはならなかったかなと思います。犯人は誰なのかを探るサスペンスではなかったけど、好きです。
雰囲気や設定は重いけれど、情報量は多くないので結構フラットに観れました。
物語の舞台であるミズーリ州エビングは架空の町ですが、白人差別が残る田舎町といったところでしょうか。
本作では色んな人の怒りが登場します。そしてその怒りや憎しみというフィルターが真実をぼかしてしまうことが大いにあるということ。でもその後お互いを理解しようとするところや、更生する姿が描かれています。一つの事件を通して知る、さまざまな人間模様を丁寧に描いた面白い作品でした。