映画「シェイプ・オブ・ウォーター」※ネタバレあり
切なくも愛おしい 愛の物語
あらすじ
1962年、冷戦下のアメリカ。政府の極秘研究所で清掃員として働く女性イライザは、研究所内に密かに運び込まれた不思議な生き物を目撃する。イライザはアマゾンで神のように崇拝されていたという“彼”に心を奪われ、こっそり会いに行くように。声が出せないイライザだったが、“彼”とのコミュニケーションに言葉は不要で、2人は少しずつ心を通わせていく。そんな矢先、イライザは“彼”が実験の犠牲になることを知る。
感想
★★★★
ギレルモ風、ラブストーリー。ハラハラしながらもラストの着地は良かったです。
マイノリティな登場人物たち
イライザは声が出せない、イライザの隣人ジャイルズはゲイ、イライザの仕事仲間のゼルダは黒人女性。そして3人は謎の生物を助けるために、マジョリティ(マジョリティの仮面を被った怪物なんですがね)と戦うのです。
時代設定からも、人種差別、性差別が激しくマイノリティが生きにくい時代。
「彼を助けないなら、私たちも人間じゃない」というセリフは、ぐっときました。
イライザの恋
謎の生物に恋するイライザ。「彼は不完全な私ではなく、ありのままの私をみてくれる」「あなたは知らないでしょう、私がどれほどあなたを愛しているのか」イライザが謎の生物に恋する感情がしっかりと表現されています。ああ、これはラブストーリーなんだと実感しました。そして愛することは幸せであると同時に孤独であることがしっかり描かれている、大人のラブストーリーですね。
謎の生物の正体とは
半魚人のような謎の生物ですが、個人的にはとても受け入れやすかったです。綺麗なスタイルだなぁと思いました。ギレルモ監督なので逆に構えてしまいましたが…もっとイカしたビジュアルかと思うじゃないですか 笑
そして彼は神に近い存在でしたね。傷を治したり、髪の毛を生えさせたりする描写がありましたが、死んだものをすぐに再生できるとは。神の能力ですよ。
怪演、マイケル・シャノン
久々にパンズラビリンスの将軍が暴走するシーン「うわ、うわ、ぎょえ〜」(目を逸らしたくなる)という感情を思い出しました。勿論マイケル・シャノン演じるストリックランドのシーンです。今回の悪役ポジションですが、怪演、狂気、人間の皮を被った怪物、とにかく怖いです。
今の地位からの転落が危ぶまれた時、彼の暴走は止まりません。その彼も駒の一つにしかすぎないのですが。実質、彼の上司に追い詰めるわけで、その上司も悪いやつですが、表面化はされないですよね。世の中闇ですよ。
ラストはギレルモ風ハッピーエンド
監督は怪物とか不思議な生物が大好きじゃないですか。そんな生物と人間のラブストーリーを描きたいとおっしゃっていましたよね。そしたら絶対ハッピーエンドにしてくれるはずた!という想いを胸に鑑賞した訳ですよ。(一応バッドエンドでも大丈夫な様に程々の期待で)
そしたら最終的には、悪役はやられますし、主人公のお友達たちは死なずに済みましたし、主人公たちは晴れて結ばれて一緒になりました。めでたしめでたしではないか。
しかしモノローグで語られた、「愛と喪失の物語」の“喪失”を意味するものがはっきりとわかりませんでした。ん〜それを教えてくれれば見方が変わるかもしれないのですが、わからないのでこれにてハッピーエンドという事にしておきました。