映画「ガタカ」 ※ネタバレあり
決して夢を諦めない
あらすじ
遺伝子操作により管理された近未来。宇宙飛行士を夢見る青年ヴィンセントは、劣性の遺伝子のため希望の無い生活を送っていた。そんなある日、ヴィンセントは闇業者の手配により、事故により身障者となった優秀な遺伝子をもつ元エリート、ジェロームに成りすます偽装の契約を結ぶ。そうして、ジェロームの遺伝子を借りてエリートとなったヴィンセントは、宇宙飛行施設“ガタカ”に潜り込む。が、そんな中、彼の正体に疑いを持っていた上司の殺人事件が起こり……。
感想
★★★★★★★
名作でした。
SF×ヒューマン。
他の作品でも面白い設定はあるが、(活かしきれず残念も多々あるが)ここまで良い作品だと思えたのは、やはりイーサン・ホークとジュード・ロウの2人の関係性がとても素晴らしかったから。映像と音楽も素晴らしかった。
常に緊張感漂う展開に目が離せない
不適合者のヴィンセントは不適合者であるとバレない為に、毎日チェックする指紋認証、尿検査など、適合者であるジュロームのものを使用しながら、髪の毛一つも残さないよう、とんでもない程の配慮をしまくる日々を送っています。
ある日、職場内で起きた殺人事件により、警察が犯人探しのために職場を調べ始めることとなるのですが、ヴィンセントにとっては危機です。警備の目が厳しくなり、より一層ハラハラ度が増すわけです。目が離せない 笑
どんな境遇でも夢を諦めない
遺伝子で決められた優劣差別の中、夢を叶えるために諦めないで生き抜く主人公の努力は賜物です。見た目で不適合者とばれないために、身長を伸ばす手術をするシーンは、観てて痛々しい。本人もそこはさすがに躊躇しますが、夢をかなえるために、手術することを決めます。
またその夢を自分の夢同様に思い、ヴィンセントに協力するジェロームの努力も賜物。この2人の織りなす関係性もとても素敵でした。(ヴィンセントが絶体絶命の中、ジュロームが車椅子を降りて必死で階段を登るシーンは印象深い。螺旋階段なのもDNAを彷彿とさせるね)
兄弟の話
ヴィンセントには弟がいます。
ヴィンセントは遺伝子操作なく両親が自然妊娠してできた子供。この両親、愛があれば遺伝子操作なくとも子供を幸せにできるという思いがありました。しかし、いざ蓋を開けてみると、心疾患で寿命は30歳と診断されるんです。
現実を突きつけられた両親はショックを受け、遺伝子操作で身体的知的のハンディキャップなしの弟を作りました。(ころっとですよ)それにより、両親はいつしか弟をかわいがり(無意識かもしれませんが)、ヴィンセントは弟という適合者と比較される環境に身を置かれるわけです。
この弟との確執が、また後半生きてくるんですよね。この幼少期の出来事もしっかり無駄なく回収してるところもいいですね。
周りを取り巻く人たちが知らず知らずに心動かされていた
特にそのような描写はありません。ただヴィンセントが不適合者であるのを知りながらも黙っている(応援していた)人たちがいました。そんな適合者すら彼の努力を認めて、このまま夢に向かって進んで欲しいと思っていた事には違いないと思います。こういうところがまたいいですよね。
ラスト
ヴィンセントが「地球には居場所がないと思ってたのに、去るのがつらかった」というセリフにジーンときました。
ヴィンセントが宇宙に旅立つ、そしてジュロームの最期…。二つの異なる炎が哀しさを引き立てましたね、こんな演出するのも上手いですね。
褒めてばかりでしたが、本当によかったです。お気に入りの一本になりました。