matsuko diary

映画感想ブログ

映画「ミスター・ガラス」※ネタバレあり

スーパーヒーローとは?シックスセンスM・ナイト・シャマランが描くサスペンススリラー

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あらすじ

フィラデルフィアのとある施設に、それぞれ特殊な能力を持つ3人の男が集められる。不死身の肉体と悪を感知する力を持つデヴィッド、24人もの人格を持つ多重人格者ケヴィン、驚くべきIQの高さと生涯で94回も骨折した壊れやすい肉体を持つミスター・ガラス。彼らの共通点は、自分が人間を超える存在だと信じていること。精神科医ステイプルは、すべて彼らの妄想であることを証明するべく、禁断の研究に手を染めるが……。M・ナイト・シャマラン監督がブルース・ウィリスサミュエル・L・ジャクソン共演で送り出した「アンブレイカブル」のその後を描いたサスペンススリラー。同じくシャマラン監督作でジェームズ・マカボイ主演の「スプリット」とも世界観を共有する。

感想

★★★★★

見ごたえあったわ…。相変わらず、ハラハラする。そして何が待ち受けているか最後までわからない。「アンブレイカブル」、「スプリット」そして本作「ミスター・ガラス」、この3作品の集大成をみました。

が、ちょっと物足りなさを感じたのは、スーパーヒーローものにあるド派手なアクションがないからなのか…それを欲しがる自分が合ってないのか…(この作品には必要ではないのかもしれない)

ダークヒーローがもてはやされるようになった今、観終わった後に誰かと語りたくなることは間違いないです。

 

みんな集合!!

アンブレイカブル」のデヴィッド、ミスターガラス、「スプリット」のケヴィン、この特殊能力を持つ3人が集まった…!それだけでなんだかテンション上がる笑 

そして、デヴィッドの息子も続投!成長してる!

そして、ケイシーも続投(本作では前回にも増して魅力的)

なんか今まで違うストーリーにいたキャラクターが揃ってわくわくする感じ。アメコミでいうジャスティスリーグアベンジャーズといったところでしょうか。f:id:osugi923:20190204140245j:imagef:id:osugi923:20190204140252j:image

 

ヒーローとヴィラン紙一重

ヒーローはヴィランは対になる存在ではありますが、特殊能力を持つということでは同じ、つまり心が善か悪かの違いだけなんですよね。でもその違いこそヒーローものでは絶対的な違いですよね。

ただ人間って、主観的判断で善悪を決めるので両方持ちあわせている実に不安定な生き物なので、闇落ちする人もいますし(ダーズベイダーとか)、反対に善に回っちゃうパターンもありますし(ヴェノムとか?)それがフィクションであればドラマをより盛り上げちゃうもんですから。

この作品は、「ヒーローとはいったいなんぞや」、「善悪どちらにも行く可能性があるならヒーローも恐ろしい存在なのでは?」「そもそもヒーローってどうやってなれる?」と言ったものを問いかけています。SFとかファンタジーで片付けることなく、潜在的にある能力なんだよ、いやそれでも普通とは違う能力なんだよ、と色々論争が勃発したり、その過程で事件が起りたりするんですわ。

 

鳥肌たったわ…

ミスターガラスとビースト(ケヴィンが持ってる獣の人格)がヴィランとなり手を組んで、デヴィッドを倒しにかかるのですが、その最中にデヴィッドの息子がビーストにある事実を教えるシーンがあります。

そのある事実に鳥肌が立ちました。それは、ケヴィンの父親は、過去にミスターガラスが特殊能力者を探すために起こした列車の脱線事故に見立てたテロに巻き込まれて命を落としたということ。

つまり、ミスターガラスが父親を殺した犯人であり、23の人格を作った要因であること。(ケヴィンが持つ23の人格は、母親の虐待から身を守るために作られたものであり、その母の虐待は父の死によって悪化した)

そ・し・て、この脱線事故は、「アンブレイカブル」の冒頭、同じ列車にデヴィッドも乗っており、彼が脱線事故の唯一の生還者になるというわけです。

なんということでしょう!(ぞわっ)こんなところで繋がっていたとは…と鳥肌。

あの脱線事故により、ミスターガラスはデヴィッドが特殊な人間であることを悟り、デヴィッドというヒーローを目覚めさせた。(それが「アンブレイカブル」のストーリー)

あの列車の事故は、結果的にヒーロー(デヴィッド)とヴィラン(ケヴィン)両方を生み出していたことが発覚。それにもまた鳥肌。f:id:osugi923:20190204140307j:image

 

本作の本当の黒幕?あのクローバー集団はいったい何ぞや?!

 タイトルの通りですが、本作は新キャラクターとして、精神科医ステイプルが登場します。「スプリット」でケヴィンをみてた精神科医カレンさんとは全然違いますからね。これ今思うとミスリードなのかな…。まあ、セリフが精神科医の割になんか癇に障るなあとは思っていましたが、裏の顔がありましたね。

このお方、3人の特殊能力を末梢するのが目的。悪を裁くことはよくありますが、その悪と対峙するヒーローも末梢の対象。ヒーローも闇落ちするかもしれないし(流行りですしね…)とにかく秀でている人は危険人物と判断し、世界の平和と秩序を守るために結成された秘密結社みたいなところでしょうか。しかしそのやり方は過激なところもあるので、善ではないですし、セリフや描写からみるに黒幕として描かれていますね。f:id:osugi923:20190204140324j:image

それで思い出したのは、「ダークナイト」のジョーカー。バットマンというスーパーヒーローが現れると、それと対峙する(見合う)スーパーヴィランが現れてしまうという原理。それを見込んで今回のクローバーの秘密結社はヴィラン対策として、ヒーローも末梢するという考えなのでしょうか…。

しかしデヴィッドの死に方はあまりにも惨い。息子がかわいそう。

ミスターガラスはヴィランだが、秘密結社の目的を見抜き、見事勝利。そこは観ててスッキリしちゃいました笑 ミスターガラスの頭脳あっぱれです。

 

これは誕生の物語である

ミスターガラスが「これは誕生の物語なんだ」といっていましたが、とてもしっくりきて、腑に落ちましたね。なにがというと、そもそもシリーズものは一作目を超えるのが難しいものだと思っています。(たまに例外もありますが)

しかし本作は3作品観てより一層良い。一つ一つも面白いんだけど、3作すべて観たほうが絶対面白い。(と私は思っている)

起承転結の起承の部分を「アンブレイカブル」と「スプリット」が担っていて、ミスターガラスでようやく転結を迎えたような感じ。(と私は思っている)

さて、ラストでヒーローやヴィランの存在を世に知らしめたことによって、今後その特殊能力の原石があらわれるか…というところで物語は終了。

続編できないかな…とちょっと期待してます。f:id:osugi923:20190204140342j:image

 

 グッときた印象的なシーンは、「アンブレイカブル」のラスト、デヴィッドが息子に自分の能力は誰にも秘密だよとシーとサインするんですが、それが今回も過去のシーンとしてでできたところですかね。うるっと来ました。「アンブレイカブル」を公開当時にみた方なんかは懐かしさとか悲しさが一層込み上げて来るんじゃないでしょうか。(時間が立ちすぎていて忘れてる可能性も否めないですが)