matsuko diary

映画感想ブログ

映画「ロケットマン 」※ネタバレあり

エルトン・ジョンの栄光の裏に隠された、知られざる生い立ちとはf:id:osugi923:20191019163528j:image

 

あらすじ

ミュージシャン、エルトン・ジョンの自伝的映画。並外れた音楽の才能でまたたく間にスターへの階段を駆け上がっていった一方で、様々な困難や苦悩にも満ちたエルトン・ジョンの知られざる半生を、「ユア・ソング(僕の歌は君の歌)」や「ロケット・マン」など数々のヒット曲にのせたミュージカルシーンを交えて描いていく。イギリス郊外の町で両親の愛を得られずに育った少年レジナルド(レジー)・ドワイトは、唯一、音楽の才能には恵まれていた。やがてロックに傾倒し、ミュージシャンを目指すことを決意したレジーは、「エルトン・ジョン」という新たな名前で音楽活動を始める。そして、後に生涯の友となる作詞家バーニー・トーピンとの運命的な出会いをきっかけに、成功への道をひた走っていくが……

 

感想

★★★★☆

エルトンの感動的な音楽からは想像も出来ない孤独が彼を蝕んでいたという事実。家族の愛情がいかに大切であるか、その愛情を知らずに育った人間の孤独を知った。

 

これはエルトン・ジョンミュージカル映画

ボヘミアンラプソディー」と異なるのは、歌が誕生した時系列で流れるのではなく、あくまでもエルトン・ジョンの人生先行でそこに合う音楽を入れている、ミュージカル映画であるという事。なのでこれはミュージシャンとしてのエルトンの半生ではなく、ひとりの人間としての自伝映画である。f:id:osugi923:20191019164020j:image

なので、ボヘミアンの時のよりも音楽性やライブ感は抑え、エルトンの苦悩や葛藤、そこに音楽が添えられていた印象。歌の入りが凄く自然で、演出が非常に上手でした。f:id:osugi923:20191019163550j:image

 

タロン・エガートンの歌が最高

歌を聴かせるとなると、出演者の歌が気になるところだが、とにかくみんな歌も踊りも上手すぎて。特に主演のタロンくんはお見事。f:id:osugi923:20191019164009j:image

エルトン・ジョンが乗り移ったかのような見た目でありながらも、歌も違和感なく引き込まれた。子ども時代のエルトンも上手よね。エンドロールでエルトン本人の幼少期の顔写真出てきたけどめちゃ似てたよね。

 

 孤独の始まりは子供時代

親から愛されることがなかったエルトン。ハグして欲しい時にハグしてもらえなかった。必要な時期に必要な愛情を注がれることがなかった彼は、成長してもひたすら愛を求めている。心は子ども時代で止まってしまった。どんなに満たされだと思っても満たされることはなかった。どんなに賞賛を浴びてもそれで満足することができなかった。愛されたい気持ちが人一倍強く、そして脆かった。彼が一番求めていたのは恋人でも才能を認めてくれる人でもファンでもなく、父親と母親の愛情だけだったのかと。残酷なことに、自分がどんなに有名になっても愛情がエルトンに向くことはなかった。とても可哀相だ。f:id:osugi923:20191019163610j:image

それと反比例するかのように彼は音楽の才能を持ち合わせていた。この辛い現実と対比するかのような素晴らしい才能を得て自らの力で成長させてきた。この彼の満たされない想いは音楽の原動力になったはず。しかしそれでもあまりにも代償が大きく、その満たされなかった愛情は彼自身の心にぽっかりと穴が空き、彼は薬、アルコール、性、食の依存症を患い、自殺未遂まで起こした。この現実を知った今、エルトンの曲が非常と尊いf:id:osugi923:20191019163619j:image

 

ラストのI'm will standingが私の中でのエルトンの始まりであった

個人的に1番好きな曲だったという事、アレンジが最高だったこと(スローテンポからの始まりと、PV再現でそのままエンドロールを迎える)もあり、うれしかったなあ。あのラストを観にまた行きたいぐらい。音楽の力ってすごいな。楽しいとか嬉しいとか悲しいとか、どの感情かがわからないけど心が動いて、高揚感があって、「感動した」という言葉がしっくりくる。この作品もそうだ。彼の半生はすごく悲しくて苦しい。なのに彼の音楽を聴くと、悲しいとか苦しいとは別の、プラスな気持ちが生まれる。自然と笑みがこぼれていたと思う。

音楽があるからエルトンの物語は救われた。