matsuko diary

映画感想ブログ

映画「トールキン・旅のはじまり」※ネタバレあり

あの壮大な冒険物語は、愛と友情、そして勇気から生まれたf:id:osugi923:20191019173516j:imageあらすじ

冒険ファンタジー映画「ロード・オブ・ザ・リング」「ホビット」3部作の原作者J・R・R・トールキンの前半生を描いた伝記ドラマ。3歳で父を失くし、イギリスの田園で母と弟と暮らしていたトールキンは、母親の急死により12歳で孤児となってしまうが、母親の友人で後見人となってくれたモーガン神父のサポートにより、名門キング・エドワード校への入学を果たす。そこでトールキンは3人の仲間と出会い、「芸術で世界を変えよう」と互いに誓い合う。16歳になったトールキンは年上の女性エディスと恋に落ちるが、神父からその交際を厳しく禁じられてしまう。そしてぼっ発した第1世界大戦がトールキンと仲間たちの運命を大きく変えていく。

 

感想

★★★☆☆

秘密結社「T.C.B.S.」楽しそうだったなぁ。

少年や青年たちの青春友情物語が大好物なので、そこが一番印象に残っていて見てて面白かったなと。指輪物語の作者の話っていうところが先行してしまっていたので、思っていた作品とは違いましたが、そこを抜きにしてみると悲しくも素敵な話だと思いました。

 

秘密結社「T.C.B.S.」

学生あるあるというか、グループに名前をつけてルールを作って結束させるみたいな。振り返るとちょっと恥ずかしくてダサいんだけど、それが楽しくて。

ちなみに秘密結社「T.C.B.S.」は芸術で世界を変えるという目的で、それぞれ音楽や詩や小説に打ち込むわけですが、結構みんな才能があるからこれまた面白い。

それとトールキンたちの友情を見てるとなんだか羨ましくなります。それほど一緒にいて楽しくてなんでも言い合える大切な仲間がいるって財産だなと。f:id:osugi923:20191019181741j:imagef:id:osugi923:20191019180716j:image

 

トールキンの前半生

これは指輪物語が生まれる物語というよりは、トールキンというひとりの人間の物語である。

もちろん、指輪物語を彷彿とさせるワードや描写はありましたし、指輪物語の作者だから妙に4人の友情物語をフロドたちに繋げたくなりますが、全体を通して見ると、トールキンという人物のこと、生い立ちが知れたかなと思いました。f:id:osugi923:20191019180642j:image

 

戦争を経験したトールキンが創造したもの

トールキンは、兵士として参加した第一次世界大戦の中でも最も苛烈な激戦だったと言われている「ソンムの戦い」に出陣します。人を殺すために作られた兵器が続々と実践投入されたこのソンムの戦いを、作中においては、火炎放射器がドラゴンの炎に見えたり、炎や煙が怪物に見えたり、毒ガスが闇のように包まれる描写がありました。もちろんこれはトールキンの想像上の演出ではありますが、指輪物語のダークさ、争いのシーンは間違いなく影響を受けているはず。あの醜さやおどろおどろしさはこういった体験から来てるんだなと。f:id:osugi923:20191019180655j:image

 

トールキンと言語

トールキンは幼い頃から架空の言語を作るのが好きで、のちにエルフ語につながる訳です。トールキンがここまで言語に魅力を感じ、大切にしていて、自分で創造するまでに没頭したのか。そこを知るに行き着くことはできないが、言語学者の恩師と出会ってから、トールキンの才能は本当の意味で開花したんだなと思いました。f:id:osugi923:20191019180704j:image

 

ラスト、トールキン指輪物語を家族に聞かせて終わるところは希望でしたが、戦争で失った仲間たちを思うとつらい。前半楽しかった分、そこがのしかかってきて、個人的には悲しい気持ちが勝ってしまいました。