映画「宇宙でいちばんあかるい屋根」※ネタバレあり
ねぇ星ばあ、私はどんな屋根の下で生まれたんだろう
あらすじ
14歳のつばめは、隣人の大学生・亨にひそかに恋心を抱くごく普通の女の子。両親と3人で幸せな生活を送っているように見えたが、父と、血の繋がらない母との間に子どもができることを知り、どこか疎外感を感じていた。誰にも話せない思いを抱える彼女にとって、通っている書道教室の屋上は唯一の憩いの場だった。ある夜、いつものように屋上を訪れたつばめの前に、ド派手な装いの見知らぬ老婆が現れる。その老婆「星ばあ」がキックボードに乗って空を飛ぶ姿に驚きながらも、不思議な雰囲気を漂わせる彼女に次第に心を開き、恋や家族の悩みを相談するつばめだったが……
感想
★★★★☆
暖かい涙がぽろりと伝った、家族愛に詰まった映画でした。
やっぱりインパクトがあるのは、桃井かおりさん演じる星ばあ。だけど、他のキャラクターも一人一人個性を放っていて、よかった。特につばめが通う書道教室の先生が個人的には印象深い。それはラストを見ればわかる。
星ばあに出会うことで動き出す、少女の一夏の成長物語
舞台が聖蹟桜ヶ丘なんですね。少女の成長物語、階段を駆け下りる主人公のシーンも相まって「耳をすませば」を連想した人は多いはず。
見晴らしが良くて景色がいいですよねー。でも坂がきつそうだなー。(…)
主人公のつばめは、ごくごく普通の女の子でありながら、幼少期につばめと父親を置いて母親が出ていってしまった過去がある。いまは新しい母親と3人暮らしをしており、幸せな生活を送っているが、その過去の喪失感を抱えながら誰にもそれを話せずにいる。
そしてある日、通っている書道教室の屋上で「星ばあ」に出会う。
この屋上が、なんとも幻想的なんですよね。ここ日本か?ってぐらい素敵なバルコニーのような、いい雰囲気でね、なんかファンタジーなんですよ、あそこだけ。
星ばあってファンタジーの世界の人かと思っちゃうんですよ。空飛べるとか、この歳になると何でもできちゃうとか、言うセリフがちょっと現実離れしていて。でも普通につばめと日中出かけたり、ちょっと風変わりなおばあちゃんって感じ。
そんなつばめと星ばあのやりとりがまた面白くて、現実だけど、不思議でワクワクするような世界観でした。
星ばあの言葉にハッとする
星ばあは人生の大先輩だから、時間の大切さや尊さを知っているんですよね。つばめに対して、「後悔は行動してからするもの」や、「屋根をみればどんな人が住んでいるかわかる」ていうセリフはなかなか考えさせれますよ。
「後悔は〜」はその通りですって思うし、「屋根を〜」は私にまったくなかった視点だったので。例えば、自分家の屋根だけの写真見て、これは「うちです」って言えないことに初めて気づいて。この映画で新しい世界の見え方を知ったので、眼から鱗でした。
「宇宙でいちばんあかるい屋根」の意味って
ラスト、タイトルが出て終わるんですよ。その時に、結局このタイトルの意味ってなんだろうって考えたんです。なんとなくわかったような、でも正直わからなかった。
屋根について物語を通してわかったことが、
・屋根はそこに住んでいる人たちを表す。
・星ばあの孫は淡路色の屋根に暮している。
・星ばあのために淡路色の屋根を探すつばめたちは淡路色の屋根が沢山あって、どれが星ばあの孫のいる屋根かわからない。
…他にもあったけど忘れました。
結局、人のうちの屋根ってわからないなぁ。
(自分のうちの屋根もわからなかったので帰りに確認したら淡路色でした)
だからいちばん明るく見える屋根は自分家の屋根かもしれない。
……て素直に思って終わりました。
ちょっと正解がわからなかったです、原作者さん、監督すみせん笑
でも、自分の居場所って馴染みの場所だし、帰る場所だからなんか明るく見えるんですよね、不思議と。
家族愛の物語なのかなって思ったけれど、題名からすると、自分の居場所を見つける物語だったのかなって思いました。