「イン・ザ・ハイツ」感想 ※ネタバレあり
そこは夢が集う場所 ワシントン・ハイツ
あらすじ
変わりゆくニューヨークの片隅に取り残された街ワシントンハイツ。祖国を遠く離れた人々が多く暮らすこの街は、いつも歌とダンスであふれている。そこで育ったウスナビ、ヴァネッサ、ニーナ、ベニーの4人の若者たちは、それぞれ厳しい現実に直面しながらも夢を追っていた。真夏に起きた大停電の夜、彼ら4人の運命は大きく動き出す。
感想
★★★☆☆
(3.7ぐらいです。)
ブロードウェイミュージカルの映画化です。
今の私には響く作品でした。
恋や友情、群青劇だけではない。
これは、夢を追い求める全ての人に見てほしい。
ラップ全面のミュージカル映画
ラップ全面でヒップホップやラテン音楽のミュージカルは新鮮でしたが、サイコーに良かったです。むしろ、ラップの方が、情報量が多いので、キャラクターや心情が細部までわかるし、テンポが良い!
一昔前の自分だと、ヒップホップ界隈の人間も知らず、聞き馴染みがない分、少し抵抗さえもあったかもしれないです。
今だからよかった。ラッパーの人たちの凄さやグルーブを作る時に欠かせない一つのパフォーマンスだと理解している今だからよかった。
夢を持つ人たちの群青劇
登場人物は皆、夢を持っていて、でもそれぞれが色んな想いや弊害を抱えているんですよ。
そもそも舞台であるワシントン・ハイツは年々家賃の高騰で生活は苦しいし、電気の供給が弱過ぎて停電になっちゃうわ、気候は暑いわで大変なんですよ。
主人公のウズナビの夢は、故郷であるドミニカへ帰ってお店を開くこと。
またヒロインであるバネッサの夢は、ワシントン地区を出てデザイナーになること。
この映画の面白いところが、みんなが夢を追い求めて、成長していくというただの群青劇ではないところ。
夢を持つ人に様々な形を提示してくれる映画
皆、夢を叶えるため必死に働いている。
毎日まじめに働きさえすれば夢が叶うのは、おとぎ話である事。それに囚われてしまうと故郷を忘れていく(大切なモノを忘れていく)というセリフがあります。(記憶曖昧ですが、たぶんそんな意味合い)
ウズナビはそれを感じているし、この映画で伝えたいメッセージの1つでもあったのかなと思います。
皆が憧れる道から挫折したもの、
夢を叶えるために闘うことを決意したもの、
追い求めていた夢ではなく、此処で本当の幸せ掴んだもの、
これがインザ・ハイツです。
最終思ったのは、
自分の理想とする夢は、本当に自分を幸せにしてくれるだろうか、と問われた気がする。
こっちの方がいい気がする、
こっちの方が勝ち組だ、
こっちの方が自由だ、
先の希望を追い求めて努力することも大切。
だけど、先入観のもと理想を追い求めて、今を大事に生きれなかったらそれは悲しいことだ。
今ある幸せを当たり前だと思わずに、噛み締めておかないと、失った時に後悔するかもしれない。
やはり、この瞬間を生きることも大事なんだと思わせてくれる。
夢に対する新しい提示を教えてくれた作品。
想像をいい意味で裏切ってくれました。
『現実を嘆くより、俺は旗を掲げたい』
劇中でウズナビがいうこのセリフは好きですね。なのでもう一回言います。
現実を嘆くより、俺は旗を掲げたい!
辛い現実を直面した時にみんなを奮い立たせるシーンですね。なんか、バンプの歌詞に出てきそうだなぁ。だから好き。
まぁこの一言に尽きる。
(バネッサの全力疾走パフォーマンスは圧倒)
(序盤からのミスリードがラストに生きる)
(ウスナビの名前の由来は結構じわる)