BLUE GIANT(ブルージャイアント)映画感想※ネタバレあり
二度とないこの瞬間を全力で鳴らせ
あらすじ
仙台に暮らす高校生・宮本大はジャズに魅了され、毎日ひとり河原でテナーサックスを吹き続けてきた。卒業と同時に上京した彼は、高校の同級生・玉田俊二のアパートに転がり込む。ある日、ライブハウスで同世代の凄腕ピアニスト・沢辺雪祈と出会った大は彼をバンドに誘い、大に感化されてドラムを始めた玉田も加わり3人組バンド「JASS」を結成。楽譜も読めずただひたすらに全力で吹いてきた大と、幼い頃からジャズに全てを捧げてきた雪祈、そして初心者の玉田は、日本最高のジャズクラブに出演して日本のジャズシーンを変えることを目標に、必死に活動を続けていく。
感想
★★★★★
結構泣いたな…としみじみ。
自然と涙が流れる事が多かったです。
特に演奏シーンで泣きました。
感情が音にのるって、こういう事なんだと思いました。
序盤で感情が揺さぶられる最初に涙腺が緩んだのは、大が雪折に初めてサックスを聴かせるシーン。
サックスの音から湧いてくる、大の感情がとにかく熱い。荒々しいけど物凄いエネルギーに溢れ、心が揺さぶられる。序盤で物語に入り込めることができたシーンでもあるので、印象深い。
玉田の成長に泣けた大は超人だし、雪折はエリートだし、共感しやすいのは勿論、玉田です。勝手に家に転がり込んできた大を受け入れ、サックスの練習に付き合ってあげる良いやつです。空き缶と木の枝をドラムに見立てて、大のサックスの練習に付き合ってあげた、あの何気ない日常。あと瞬間に、玉田はドラムにのめり込んだ。というか、セッションの楽しさと気持ちよさ、そして大の音に魅了されたんだと思う。
劇中、「ジャズは同じメンバーでずっとやることはない」と、雪折は言っていたけれど、玉田にとっては大と雪折の3人でやるセッションにこそに意味があったんだと思う。音楽初心者の楽しさだったり、2人に必死で喰らいつこうとする姿だったり、自分のドラムの出来なさに「俺のドラムはクソだ」といって落ち込んだり。初ライブでの苦い思い出など、振り返ると、映画版ブルージャイアントは、「玉田の成長物語」なのではないかと思うほど。
大にも成長ストーリーはあったけれど、仙台編がカットされた本作では、玉田が王道の主人公に見える。
初ライブを見たおじちゃんの言葉にグッとくるまた玉田の話になってしまいますが、ストーリーは進み、3人のバンドは力をつけていく。ライブ終わりに出待ちがいる様になっても、それは大や雪折が目当て。ただある日、玉田に話しかけたおじちゃんは、
「君のドラムはどんどん良くなっている、成長する君のドラムを聞きに来ているんだ」
と玉田に伝える。そのおじちゃんは、3人の初ライブを聞いていたおじちゃんだった。
凄くいいシーンだな、原作でもよかった。
音楽って上手い下手だけじゃなくて、
感情が伝わるかどうかだし、改めてその人のストーリーに感動するだなと思った。だからこそ、私はラストのソロにとても感動をした。
ドラムパフォーマンスで泣いたのは初めてです。
雪折はスランプに陥る日本一のジャズクラブ“So Blue”に、10代のうちに立ちたいという目標があった雪折は、ツテを借りて何とか“So Blue”の関係者に自分達の演奏を聴いてもらうことができた。しかし、雪折だけ(とても)コテンパンにダメ出しされてしまう。「小手先だけ」「音楽だけでなく、人を馬鹿にしてる横柄な態度」人格もダメだしされてますやん。逆にあそこまで言ってくれた平さんは、雪折の才能に期待してたからで。先にあるスランプを予期していたのかわかりませんが、あのぐらい言わないと変われないだろう、才能をダメにする可能性を予想していたのだろうか。
若いうちは図々しいくらいが良くて、でもどんな世界でも素直さがないと軌道修正もできないし、結果良い逸材にはなれない。あの平さんの言葉に対して、反抗したり逃げたりせず、受け入れて、自分を正していく雪折の姿は成長だし、あと凄いピュアな人だったんだと気づく。
3人ともピュアでした。
あと、雪折に関しては原作を読んでいたので、ことあるごとに泣けてしまう。あの感情に関しては、原作未読の方が絶対楽しめるはずです。
ラストのピアノソロでグッときたし、多分泣いていたと思う。
そしたら結構な頻度で泣いていたという事です。
最後に
他の方の感想で耳にしていた、演奏シーンのCG問題。凄い耳にしていたからなのか、そこまで気にならなかったです。でもあそこが気にならなければ、もっと良い評価になることは間違いないです。
むしろ演奏シーンは、CG問題よりも女性の観客の演出がわざとらしく見えてしまって、少し冷めてしまう自分がいました。でもそれ以外は最高でした。
また観たい、映画館で!
「イニシェリン島の精霊」感想※ネタバレあり
すべてがうまく行っていた、昨日まであらすじ
1923年、アイルランドの小さな孤島イニシェリン島。住民全員が顔見知りのこの島で暮らすパードリックは、長年の友人コルムから絶縁を言い渡されてしまう。理由もわからないまま、妹や風変わりな隣人の力を借りて事態を解決しようとするが、コルムは頑なに彼を拒絶。ついには、これ以上関わろうとするなら自分の指を切り落とすと宣言する。
感想
★★★☆☆
「スリー・ビルボード」が好きで、その監督作品とのことで気になっていた本作。
ジャンルはコメディ/ドラマ、しかし予告を見る限りなんだか暗い、とある雑誌のコラムにはホラー要素があるとのこと。どんな作品かよくわからず、自身の目で確かめることに・・・・・。
私はホラー認定させていただきました(もしくは漆黒コメディ)
これは人間関係のもつれが生んだ、愛と憎しみの物語である常に不穏な空気。いつ何が起こるかわからないハラハラ感。そして後半は畳み掛けるような狂気展開。
愛が憎しみに変わる瞬間、その過程が描かれるなあ。
一緒に鑑賞した方々に救われる私
ストーリー的にはどんよりしてもおかしくない展開が続くけれど、確かにすくっと笑えるシーンもあった。不憫すぎて、この凄まじい空気に耐えきれなくて、でも掛け合いや言葉選びからか、可笑しくなってしまうところがある。ただ一人で鑑賞していたらそんなことはなかったかもしれない。
映画館で鑑賞したので、他の人が笑ってたりするもんだから、そこで救われました。
(ああ、これ笑っていいところね)
ブラックジョークに反応できるムッシュやマダム達、映画好きに感服。
あと、この絶妙な空気感を作り出せる監督、俳優陣がとにかく素晴らしい。
これは破局から始まる物語
作品を自分なりにまとめたところ、突然別れを告げる彼と突然別れを告げられた彼女。
彼女認定したパードリックがひたすら惨めに見えてしまうけど、やはり不憫。
コリンファレル演じるパードリックのハの字眉毛がなんとも印象的。
突然別れを告げた方(コルム)も我慢していたんだろう。いままでそれを言わなかったことが、彼なりの優しさや責任感の強さだったのだろうか。(劇中での彼のふと垣間見れる行動や言動から察する。)そしてコルムの気持ちに気づかず、突然別れを告げられるところまで気づかず来てしまったのだろう。
気づかないパードリックと、自分の思いを伏せていたコルム。見方によってはお互いの良さでもあったはずなので、どっちが悪いとかでもないですね。コルム自身も、パードリックが悪いことをしたわけではないと冒頭で伝えている。お互いがうまく行かなくなっただけなんでしょうけど。
まぁこんな別れ方は「はいそうですか」とすぐに納得できないのはわかる。なんかちょっとしたトラウマになりそう。コルムは特に人からモテるような人みたいですし。そんな人が理由も言わずに離れていったら、自分の性格に欠陥があったんじゃないかって思っていまいそう。
これ、どっち派とか分かれるんですかね。だれかと話したいけど、周りで見ている人がいないのと、人に勧めるかと言ったら躊躇いそう。
厄介なコルムと、どんどんおかしくなるパードリック
パードリックと関わらないことを突然し出したコルムですが、この小さな町から出ることもなく、同じ行きつけのバーがあったり、道ですれ違ったり。2人は同じ集落で暮らし続けてるからなんとも気まずい。やっぱり気になるし、美味しく飯もありつけない。
コルムのよくないと思うところは、さんざん突き放しといていざ助けてあげたり、ずっと無視したらいいのになんだかんだ会話をしてくれたり。根は優しいんだろうけど、相手のためにはならないでしょう。
その結果、ダークサイドのパードリックを生み出してしまったわけですよ。
好きだけど憎いという感情をコリン・ファレルは見事(ユーモア)に演じていて、めちゃめちゃ好きになりました。
好きの反対は。
改めて「好き」の反対は「嫌い」でなく、「興味がない」ということを思い知るような作品でした。
本土で起こっていた内戦を皮肉った描写がありますが、この小さな町で起こった2人の戦争に一番迷惑を被ってるのは、やはりそこに住む住民であることは間違いない。
映画「アムステルダム」感想※ネタバレあり
歴史を変えた陰謀の裏側——ありえないけど、ほぼ実話。
あらすじ
1930年代のニューヨーク。かつて第1次世界大戦の戦地で知り合い、終戦後にオランダのアムステルダムで一緒の時間を過ごし、親友となったバート、ハロルド、ヴァレリー。3人は「何があってもお互いを守り合う」と誓い合い、固い友情で結ばれていた。ある時、バートとハロルドがひょんなことから殺人事件に巻き込まれ、容疑者にされてしまう。濡れ衣を着せられた彼らは、疑いを晴らすためにある作戦を思いつくが、次第に自分たちが世界に渦巻く巨大な陰謀の中心にいることに気づく。
感想
★★★☆☆
世界観、キャスト陣にワクワクしっぱなし
本作の舞台は1930年代のニューヨーク。その時代の街並みや雰囲気、服装全てが好みでした。街並み、アンティーク調のお店のロゴや看板、観てるだけでも楽しいです。(ミッドナイト・イン・パリ状態)
服装に関しては、登場人物のスーツ率が高く、スマートな英国紳士っぽさを感じました。実際もこんな感じだったのかな?
キャスト陣に関しては、主演のクリスチャンベールの役作りは見事だし、憑依が凄過ぎて、それだけでも満足度が高い。
そして、バディを務めるジョン・デヴィッド・ワシントン、ヒロインがマーゴット・ロビーってどんだけ豪華やねん!
特にマーゴット・ロビーは美しかった。今まで見た作品は、美の暴力強め・キュートなイメージでしたが、本作ではキーラ・ナイトレイのような知的さのある雰囲気(役柄は大胆かつ個性的だけど)で、それもまた素敵でした。惚れ惚れ。
さらっと登場するテイラー・スウィフトやラミ・マレック、そしてロバート・デ・ニーロなど、豪華キャスト陣…。純粋にわくわくしました。
序盤の衝撃で、一気に引き込まれた
壮大なネタバレ投下になりますが、
序盤、テイラー・スウィフト演じるリズが、陰謀の口封じのために殺されてしまいます。
何者かに押され、車に轢かれてしまうそのシーン、車の下敷きになるところを鮮明に描いているため、ショッキングなシーンとなっています。戦争映画やホラー映画でもない限り、急にドキリとくることはあまりないので、不意をつかれました。主人公たちと一緒にいながらも一瞬で殺されてしまう、その衝撃といったら、なんともリアルでした。
その見事な「起」によって、「承転結」まで多少の中弛みがあっても、緊張感が保たれていたと思います。
「愛は必要とするものではなく選択するもの」
作中で愛の形について問うシーンがありますが、印象に残っているセリフの1つです。
主人公のバートには奥さんがいますが、側から見ると破綻しています。
バートは、恋人同士であるハロルドとヴァレリーと共にするなかで、時には寂しさを抱き、時には自分達の愛の形に疑問を抱き、最終的にはお別れをします。
愛情という言葉の裏には、寂しさを埋めたいがため、権力・地位欲しさのため、純粋に愛する気持ち以外の「必要」な何かがあった。「愛は必要とするものではなく選択するもの」という言葉には、愛する人は、自ら「選択」することで、本物であることを説いたセリフのように感じました。
「正しい神とは?」
これも主人公バートのセリフだったと思いますが、
まず、間違った神=親ナチスのことでしょう。
当時のアメリカの歴史を変えたかもしれない陰謀とは、裏でおこなわれようとしていた、実業家などの権力者が絡んだアメリカ政権のクーデター、そしてファシズムの形成です。
そして揺さぶりをかけられそうになったのは、アメリカ史上もっとも勲章を受けた軍人であるギル(ロバート。デニーロ)で、国民からの信頼が大きい彼を指導者にして、アメリカでもファシズムを起こそうとしていたわけです。
一見、ハラハラ・ドキドキな展開を予想してしまいますが、主人公が自分達の無実の罪を晴らす=陰謀を阻止することに真っ直ぐ向かっていくストーリー展開だったので、裏切りや間違った神を選びそうになることもありません。そこはカタルシスに至らず、惜しいと思ってしまったところではあります。実話ならホッとするところでしょう。
そして、作中に気になるセリフがいくつか散りばめられていても、それを回収する描写等があったのかは謎、笑
正直、もう一歩…!といったところでしたが、俳優陣の演技は最高なので、「こんな贅沢をありがとうございます。ご馳走様でした!」という気分で終われます。
「ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密」感想※ネタバレあり
ダンブルドアと、彼の一族が抱えていた秘密とは
あらすじ
魔法動物を愛するシャイでおっちょこちょいな魔法使いニュートが、恩師のアルバス・ダンブルドアや魔法使いの仲間たち、そして人間(マグル)と寄せ集めのチームを結成し、史上最悪の黒い魔法使いグリンデルバルドに立ち向かう。その中で、ダンブルドアと彼の一族に隠された秘密が明らかになる。
感想
★★★★☆
過去作よりも好きかもしれない!
回を重ねるごとに、キャラクター達への愛着が湧いてきたことや、凸凹メンバー達の協力戦が最高でした。
①ジェイコブ最高
本作は、「ジェイコブがメインと言っても過言ではない」と個人的には思っている。
ジェイコブは、一見凡人に見えるけれど、神がかった存在であったことを知らしめたのは本作だったのではないでしょうか。
人にも動物にも、誰にでも分け隔てなく接することができる。誰からも愛されるジェイコブの存在は尊い。そして関心術に長けているクイニーが愛した人であることで、裏表のない人なんでしょう。心の中を覗かれた上でも、好きになれる人って、そうそう居ないでしょうね。
ジェイコブの凄さを、ダンブルドアは広い心と表現していますね。
②凸凹メンバー最高
ニュートとニュートの兄テセウスのコンビ、良かったです。前作ではぎこちない雰囲気もありましたが、本作ではお互い協力し合いながら、作戦を遂行していきます。魔法省の刑務所に捕まってしまうテセウスを助けにくるニュート。2人のマンティコアダンス‥のシーンは、注目。(超危険なシーンですが)
ラリー&ジェイコブのコンビもよかったなぁ。
サントスの暗殺阻止をするために、ユーラリー&ジェイコブが向かったパーティー会場でのシーンは、特にお気に入り。ジェイコブがグリンデルバルトに杖を向けた瞬間に、戦いが勃発。ユーラリーはジェイコブの杖を暴走させたり、サントスの暗殺を阻止したり、敵を次々となぎ倒したり。そしてダンブルドアから授かっていた本(実はホグワーツへのポートキーだった)を開いて、ジェイコブを救い、手と取り合って脱出を図る。
あっっ圧巻、です。
一瞬で敵をかわしながら、作戦を遂行し、ジェイコブも救いあげてポートキーで脱出。ユーラリーの有能さが光るシーンですね。
あのシーンはめちゃめちゃかっこよかった。
別行動をとっていた、ユスフとバンティも要注目ですね。一見凸凹メンバーに見えますが、最後まで見ると、うまくピースがハマっていましたね。
③ダンブルドア最強
本作では、マイナスな意見も多く目にしますが、期待値も高いシリーズなので、まぁよくある事だと思います。個人的見解では、マイナスな意見こそが、本作の醍醐味かなと。ダンブルドアの作戦に、私たち観客も巻き込まれているが故の、先の読めなさと、作り込まれ過ぎていないストーリー展開かと思いました。
そもそも、グリンデルバルドに未来予知の能力があったので、作戦を共有することができなったのがポイント。作戦の全貌をメンバーにあえて教えず、必要最低限の誘導のみ。大半はそれぞれの性格を考慮したり、メンバー自らの行動を信じて上手く進めていたダンブルドアが、とにかく凄い。結果、グリンデルバルドの事を一番知るダンブルドアだったからこそ、勝利を掴むことができた超絶な心理戦。
ダンブルドア最強でした。
キリンが魔法界の指導者として、ダンブルドアを最初に選んだのも、いい描写だと思います。ジェイコブの凄さもしっかり見抜いていましたし。
本作のタイトルでもある、ダンブルドア家の秘密も明かされます。ハリポタシリーズを見ている人は、「うおおお‥。」て、絶対なる。リンクした瞬間テンションが上がる。
私自身もニュート達と同じような感覚で物語を追体験できた気がします。
とにかく次回が楽しみです!!
「SING/シング: ネクストステージ」感想※ネタバレあり
夢よ、どこまでも響け。
あらすじ
取り壊し寸前の劇場を見事立て直すことに成功したニュー・ムーン劇場の支配人バスター・ムーン。次なる目標を「エンタテインメントの聖地“レッドショア・シティ”での舞台上演」に決めると、仲間を引き連れて業界の超大物ジミー・クリスタルのもとへ向かう。アイデアとハッタリで超一流劇場での公演契約を取り付けるが、「15年前から人前に姿を現さなくなった伝説のロック歌手を探して出演させること」が必須条件に。さっそく準備を始めるバスターだが、次々とトラブルに見舞われてしまい…。
感想
★★★★★
どハマりした前作から、ついに新作公開!!
前作から4年の月日が経ちました。ようやくです。キャラクター達に愛着があるので、みんなが続投なだけでも楽しみでしたが、ストーリー自体も良かった!みんなの変わらない関係性、新たなキャラクター達との出会いと成長、歌、ダンス、劇場セット、ストーリー展開や演出など、全てがパワーアップしています。
推しのロジータは本作も絶好調!?
わたくしの推しキャラ、ロジータは本作も魅力満載でした。表情豊かで、動きもチャーミングで、本作も私のツボに刺さりまくり。
ロジータファンとしては大満足な活躍ぶりでしたが、キャラクターそれぞれにしっかりスポットが当たっていました。そこに新キャラもうまく絡めて、とにかく構成が上手いな〜という感想。前作からのファンは特に大満足だったのではないだろうか。
オープニングから掴み抜群
ミーナが不思議な世界に迷い込み、不思議の国のアリスの世界観で物語がスタートします。ジョニーやロジータなどお馴染みのメンバーも登場し、(ロジータの衣装は相変わらず振り切っていて最高)第一部の幕が閉じる。
私たちも一観客として、ムーン劇場で公開されているショーを観る。自然とSINGの世界観に没入できる素敵な演出でした。
キャラクター達の成長が垣間見れる
ムーン劇場は地元で人気となり、連日満席の活気に溢れていた。前作ではアマチュアだった彼らが、劇場のスターになっていた。そして、ムーンの次なる夢が、エンターテインメントの聖地“レッドショア・シティ”での舞台上演をすること。
そんな中、タレントスカウトをしているスーキーが、ムーン劇場のショーを見にやってきた。これは次のステージに?!いくかと思いきや、スーキーは第2幕を観ずに会場を後にする。ムーンは急いで追いかけて話しかけると、「実力不足」とはっきり言われてしまう。
本場のショービジネスはやはり甘くない、という展開。
本作では、皆が新たな壁にぶつかり、挫折しそうになりますが、音楽を通して出会った仲間達や、音楽自身から助けをを貰い、それぞれが自身の力で乗り越えていく過程が描かれます。
「選択肢はいつもある。正しいものを選ぶ勇気がないだけ。」
このセリフは一番印象に残っています。正直、正しいことをしようとして命の危険が伴えば躊躇します笑 究極な話は別として、これは、
刺さった〜
「できない」とか「無理」とか「現実味がない」とか「夢物語」とか、時には他人のせいにして自分の進むべき正しい道を塞ぎそうになるけれど、後悔しないために、勇気を出さればいけない時がある。本作では「夢を叶えるために必要な勇気」をもらえました。
一番の見どころは、ラストのステージシーン!!!
それぞれが壁にぶつかりながらも、新しい仲間達との出逢いを経て、成長する。
クリスタルという本作の悪役の怖すぎる妨害や、ムーンのお騒がせやミスグローリーの破茶滅茶など色々ありましたが、やはり全て、このステージシーンを盛り上げるための布石ですよね。
感極まったのが、
ジョニーが「A SKY FULL OF STARS」を歌うシーン。感極まるまでいった理由として、シンプルにもともと好きな曲だったから。
ライブに会場で好きな曲を生で聴けたときの、あの感情です。
イントロが流れて、「きたーーー!!」と心で叫ぶあの興奮と歓喜。音楽の力に心を動かされて、涙が出ました。多分歯、食いしばっていた気がする笑 演出はジョニーが一番熱かった。ダンスを織り交ぜた戦闘シーンでは、一度は負けてしまうジョニーも、その後にヌーシーの刻むリズムで、ジョーニーがアカペラで歌いながら、今度こそ勝つ。魂のこもった歌とダンス。胸熱。最高でした。
もう一つ、涙が込み上げてきたのは、
クレイの歌唱シーン。ですよね。
クレイは伝説のロック歌手だが、奥さんが他界してから、心を閉ざし、15年間以上人前から姿を消していた。
アッシュの弾き語りを聞いて、歌を歌う勇気をもらったクレイでしたが、ステージ直前に「やっぱり無理だ」と心を閉ざしそうになる。アッシュだけがステージに上がり、そしてかつての自分の歌を歌うアッシュに観客も一緒に歌い出す。
クレイがステージに帰ってくるのを待っているかのような、大合唱。
クレイの横に奥さんが出てくる演出に、これまた涙が。
奥さんはそばで見守ってくれていた。歌が心と心を紡いてくれる。そしてクレイはステージに上がって、ついに歌い出す。
その力強い歌声に鳥肌が立ちました。稲葉さんの歌の力が凄まじかった。
ライブって一体感がある。いまはコロナ禍で声を出すことができないけれど、ライブは音楽を通して、人と人を繋ぐことができる。あの瞬間は宝物のような、忘れられない景色を見せてくれる。
クレイのステージは、その瞬間を思い出させてくれました。
音楽の力は偉大です。
音楽が素晴らしい作品は、物語との相乗効果で傑作になるんです。
SING最高でした。大スクリーンと大音響で、本当にライブを観ている気分を味わうことができました。
劇場で鑑賞することをお勧めする映画です。
SINGはこのブログを書き始めたきっかけとなった映画でもあります。
これからも色んな映画と出逢い、感性を磨いていきたいですね。
「THE BATMAN-ザ・バットマン-」感想 ※ネタバレあり
マスクに隠された「嘘」を暴け。
あらすじ
青年ブルース・ウェインがバットマンになろうとしていく姿と、社会に蔓延する嘘を暴いていく知能犯リドラーによってブルースの人間としての本性がむき出しにされていく様を描く。両親を殺された過去を持つ青年ブルースは復讐を誓い、夜になると黒いマスクで素顔を隠し、犯罪者を見つけては力でねじ伏せる「バットマン」となった。ブルースがバットマンとして悪と対峙するようになって2年目になったある日、権力者を標的とした連続殺人事件が発生。史上最狂の知能犯リドラーが犯人として名乗りを上げる。リドラーは犯行の際、必ず「なぞなぞ」を残し、警察やブルースを挑発する。やがて権力者たちの陰謀やブルースにまつわる過去、ブルースの亡き父が犯した罪が暴かれていく。
感想
★★★☆
ロバート・パティンソンが、かっこよすぎて。
(私得)
英国俳優の雑誌では、セクシー枠に入っていた気がしますが、個人的には、闇属性のスマートイケメンというイメージ。
本作では、頑張って肉体改造もされたようで、見事に、闇属性もまま、マッチョイケメンに変身しておりました。
ゾーイ・クラヴィッツのキャットウーマンも好きです。スタイルも良くて、身のこなしもスマート、端麗でしたわ。
作品によって、バットマンの性格だったり、設定も多少変化しているけれど、バットマンの肝となる部分は、大事にしている作品であったことは間違いない。
まさに、「THE BATMAN」でした。
バットマンはとにかく魅力的なヴィランズが出るので、本作でも注目していたのが、悪役でした。
個人的に一番テンションが上がったのが、リドラーを演じたのが、ポール・ダノだったことかな。
超ー普通な役も似合うけど、サイコな役も似合う。
これは観にいかねば〜と思っておりましたわ。
リドラーの気持ちもわかるんですよ。同じ孤児でも、同じなんかじゃない。同じ部屋に30人の孤児が住んでいる環境にいることはない。金持ちはそんな思いもせずに、自分はされたこともない同情を何故されるのだろうか。不平等な環境が彼を曲がった思想に変えていったのだろうと。
リドラーのなぞなぞは、言葉遊びが巧みなので、そこはジョーカーに通ずる面白さがありました。
それにしても、
謎々が出てきても瞬時にバットマンが答えるもんだから、考える余地はまったくありません。
(緊迫したシーンなのに、シュールすぎて可笑しくなりました。)
あと、
初っ端から、
壮大なネタバレを投下しますが、
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ジョーカー役が、バリー・コーガンだったああ。
上映中は、顔がはっきり映らないのでわからなかったのですが、上映後に 「ザ・バットマン ジョーカー 俳優」で調べたら、バリー・コーガンだったああああ。
続編があるといいな。
バットマンから学ぶ人間という生き物
ブルース・ウェインの両親についてや、死の真相についても核心に近づくような描写がありましたね。
両親が犯した罪について、
「どんな善人も追い詰められれば人は変わる」
と、ファルコーネがブルースにいう台詞があります。
(ファルコーネの話はブルースを騙すための嘘であり、ミスリードで終わりますが)
この台詞を聞くと、
ハービーデントがトゥーフェイスになったシーンを彷彿とさせますね。
バットマンには、この人間に潜む善悪について、さまざまなエピソードから掘り下げてきます。
だからこそ、バットマンは苦悩し、悪と戦い続けるんですよね。これがバットマンの面白さ。
これはバットマンの成長物語であった
そもそもリドラーは、バットマンを同志だと思っていたんですよね。
汚職をしている悪を暴露し、次々と殺害していく。
やり方は違えど、恐怖による犯罪の抑制をしているところも、バットマンを作り出した理由と完全に一致してしまった。
そしてバットマンは気付かされる。
「復讐で過去は変えられない」
「希望が必要だ」
そのあとのバットマンの行動は、
名シーンです。バットマンって、突然絶大な力を得ることもなく、超人でもなく、普通の人間が鍛錬を重ねて、普通の人より強くなっているだけなんですよね。だからこそ、共感しやすいし応援したくなる。(テクノロジーという名の財力使って、どえらい武器や装備を使って戦いますが)
新たなバットマン像を見事に作り上げた
新生バットマンは、振り返ると成長物語でした。フレッシュさもあって、より応援したくなりました。
初々しさもあり、ロバート・パティンソン版バットマンは真面目な好青年です。
真面目すぎて、ゴードン刑事やペンギン達との掛け合いでは、シュールな笑いは生まれたのは間違いない。
ラスト、バットマンとセリーナが反対の道にバイクで進むシーンは、
青春映画みたいな演出でした。
バイクのミラーに映るセリーナの後ろ姿が見えなくなるまで見ているバットマンが切なかった。
「フォレスト・ガンプ 一期一会」感想 ※ネタバレあり
人生はチョコレートの箱のようなもの。
食べるまで、中身はわからない。
あらすじ
人より知能指数は劣るが、母親に普通の子どもと同じように育てられたフォレスト・ガンプは、小学校で優しく美しい少女ジェニーと運命的な出会いを果たす。
アメフト全米代表、ベトナム戦争、卓球世界選手権、エビ漁船船長、
そのままフォレストは風のような速さで自らの人生を駆け抜けてゆく—。清らかな心をもった男フォレスト・ガンプの数奇な人生を、アメリカ現代史と重ねて描き出していくヒューマンドラマ。
感想
★★★★★
2022年3月に、4Kリマスター版でリバイバル公開されたので観にいってきました。
今回で3回目の鑑賞になりますが、1回目が子供時代、2回目が大学生か社会人初めの頃、そして今回(30代)。
感情移入の仕方や考え方が変わっていましたね。興味深い。自分の成長にしみじみ思うところがありました。子供時代から変わらない感想としては、訓練兵中のババのエビ語りが永遠に終わらないシーンと、ドクターペッパーを飲みすぎて「しょんべんしたい」と大統領に発言したシーンに笑ってしまうとこと。
ババガンプ・シュリンプに行きたくなること。
そして、音楽がとにかく素晴らしいことです。
これは「人生の教科書」である
学校で道徳の授業がありましたが、子供の頃は、道徳の授業=本を読む、テレビ(さわやか三組)を観ること、と勘違いしていました。それはさておき、
「神から与えられたもので、ベストを尽くす」
母の教えであり、その精神こそ、主人公フォレストの生き様でもある。彼の生き様、純粋さと誠実さが、彼に名誉を与え、運も味方をする。そして周りの人々の運命までも好転させていくのである。
フォレストの反対の構図にいるのが、ヒロインのジェニー。彼女はアメリカの現代史と潜む闇を体現化した存在でもある。このポジションにヒロインをおいたのが、さすがロバート・ゼメキス監督。この相反する二人ですが、豆とニンジンの関係であることが、愛おしいなと思えたのが、今回の感想です。
1回目は、恋愛パートよりも、テンポ良く進むフォレストの様々な人生体験にワクワクしたなあ。
2回目は、ジェニーがどんどん落ちていく姿にこの人のアイデンティティはあるのだろうと思ったのと、最後にようやくフォレストと結ばれるも、病気で亡くなってしまう結末が悲しかった。
3回目は、巡り巡って、
この二人が愛おしいと思いました。
自然と心にじんわり刺さる名言が詰まっている
フォレスト・ガンプで有名なセリフは、
「人生はチョコレートの箱のようなもの。食べるまで中身はわからない。」
これは余命わずかのフォレストの母親が、フォレストに贈った言葉です。
チョコレートといえばバレンタインですが、その時期になると沢山のチョコレートが店頭に並んでいます。私には一見どれも同じのように見えるのです。味の違いが見た目じゃまったくわからない笑 いい例えだなと思う。チョコレートはよく見ないと、調べないと、そして食べないと、味の違いがわからない。それを人生に例えるなんて、おしゃれだなあ。
どのチョコレートを選ぶのかは自分で決める。そのチョコレートを噛み締めて、じっくり味わう。自分の人生は自分で切り開く。自分の選んだ道をしっかり踏み締めて、丁寧に生きていく。
チョコレート食べたい。
フォレストの母親が、同じシーンでフォレストに贈った言葉の中に、
死は生の一部なのよというセリフがあります。
これも運命だから、目を背けないで受け入れてほしいというフォレストへのメッセージです。私にはもう少し時を経ないと琴線に触れることはないかもしれない。
僕は賢い人間じゃない。でも、愛が何かは知ってるよ。
フォレストがジェニーにプロポーズした際に伝えるセリフです。これは、今回、特に、響きました。
フォレストのジェニーに対する思いは「恋」ではなく「愛」であることは、二人の関係をずっと見ていれば言わずもがな、わかります。改めてフォレストの口からその音葉を言われると、涙が込み上げてきました。
…歳でしょうか。
フォレストの喪失感と行動力
一度は結ばれたと思っていた2人ですが、ジェニーはまたフォレストの前から消えてしまいます。この時、自身の病気を知っていたかどうかはわかりません。でも、ジェニーの中で何かがあって、だめだと思っていながらも、フォレストに会いにいき、ひとときを過ごした。
ジェニーはフォレストのことを思って離れたのであろうと思う。女心は、複雑であり、厄介です。
その後、ジェニーをまたも失ったフォレスト。その時の喪失感を考えると、胸どころではなく、全身が苦しい。(私が)
ただ、そこで無力にならずに、思い立ったように走り出すフォレスト。
本人は「何の理由もなく走った」と言っていますが、この気持ちに耐えきれなかったのか、前へ進むためなのか、
ずっと走り続けるんです。
このシーン、すごい好きです。
何とも言えない気持ちになります。
感情が、こう、ぐわーーーーと、押し寄せてくる。
壮麗な景色も相まって、心、打たれました。
4K大スクリーンで鑑賞できて、本当によかったです。
次は40代以降に観ようかな
観る年代によって、解釈や感想も変わっていくものですね。今回は、フォレストのジェニーに対する思いを一番感じることができたかな。
フォレストをより近くに感じることができた、今作でした。