matsuko diary

映画感想ブログ

「ジョジョ・ラビット」感想 ※ネタバレあり

愛は最強

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あらすじ

第2次世界大戦下のドイツに暮らす10歳のジョジョは、空想上の友だちであるアドルフの助けを借りながら、青少年集団「ヒトラーユーゲント」で、立派な兵士になるために奮闘する毎日を送っていた。しかし、訓練でウサギを殺すことができなかったジョジョは、教官から「ジョジョ・ラビット」という不名誉なあだ名をつけられ、仲間たちからもからかいの対象となってしまう。母親とふたりで暮らすジョジョは、ある日家の片隅に隠された小さな部屋に誰かがいることに気づいてしまう。それは母親がこっそりと匿っていたユダヤ人の少女だった。

 

感想

★★★★☆

感動した、悲しかった。心が暖かくなった。

子どもの頃に見たかったな。そして成人してからもう一度みたかった。そんな映画。

ビートルズの『I want to hold your hands』で、始まり、デヴィッドボウイのHeroesで終わる。

音楽最高。f:id:osugi923:20200209120413j:image

 

チャップリン映画のようなユーモアさ

コメディタッチで描かれているのでクスッと笑ってしまう演出が散りばめられていますが、物語としては全く笑える状況ではないです。同じ第二次世界大戦を題材にしたナチスユダヤ人が描かれる映画をいくつか観ましたが、本当に残酷な現実を突き付けられるので。この状況を笑ってみることは普通ならできません。

でもチャップリンはつらい状況を逆手にとって笑かそうとしてくるんです。ブラックユーモアですね。その上、大切な事を伝えてくれるんです。押し付けがましくなく、でもストレートに伝わったくるんです。それが本作でも生きていて。子どもに観て欲しいですね。これを観終わったあとに何を感じてくれるのか。f:id:osugi923:20200209115507j:imagef:id:osugi923:20200209120046j:image

 

スカーレットヨハンソンが本作のインタビューで、「ダークな物事を処理するために、ユーモアはとても有効だと思う。コメディを使うと、相手は防御を下げてくれるから。だから、とてもパワフルなメッセージを伝えるための武器となりえる。」と言っていたけど、まさにそうだと思って。

この題材にユーモアを入れても重要なメッセージはしっかり伝わる。前半笑った分だけ後半泣けてくる。だから素敵なシーンにはほっこりして面白くておかしなシーンは笑っても大丈夫なんだと思えました。f:id:osugi923:20200209115526j:image


この時代に正義は存在しない

スカーレットヨハンソン演じるジョジョの母親は反ナチスであり、ユダヤ人を匿います。本当に強くて優しい人で、これが正義なんだと思う。けどこの時代ではそれが国家に背く行為であり、罪になるんです。もちろん今ではそっちがおかしいと堂々と言えるのですが、当時はその自由がなかった。そして国に背く行為はジョジョを危険に晒す行為でもあった。

1人の人間としての考えを尊重する思いと、母親として子供を守らなければいけない立場であると言う事。f:id:osugi923:20200209115545j:image

誰かにとっての正義は誰かにとっての悪になり得るのだから。戦時中に至っては、悪いのは政府であり社会であり指導者である。それはどの国も同じであること。これを忘れてはいけない。この映画の中の悪者はアドルフ・ヒトラーただ1人だけである。

 

戦争ってなんなんだろう…

終盤、ジョジョのたちの街にも敵が侵略してきて皆が戦っている最中、ジョジョがただただ、呆然とその光景をみていることしかできない。悲惨な現実がスローモーションで映し出されます。

なんのために

誰のために

戦争してるんだろうf:id:osugi923:20200209115557j:image

 

こんな気持ちになりました。

あの瞬間、ジョジョは何を思っていたのか。

いろんな感情が渦巻いて、シンプルに戦争の意味を問いていたのではないか。f:id:osugi923:20200209115607j:image

 

愛すべきキャラクター達

登場人物キャラ立ちが凄くて、そこがまた良かったです。特に好きなのが、サム・ロックウェル演じるジョジョの教官のクレツェンドルフ大尉とジョジョの友達ヨーキー。

まず教官のクレツェンドルフ大尉は、第一印象がザ・ナチ党って感じでやばい教官かと思いきや意外と面倒見がよく特にジョジョを暖かく見守ってくれていました。彼は同性愛者であることから多分彼はナチ党に属しながらも反ナチの精神を持っていた。だからジョジョの両親に負い目を感じていたかもしれないし、ジョジョのことを大事に思っていた。ジョジョの危機を2回も助けてくれて、ラストの行動には泣かされます。(最近スリー・ビルボード鑑賞したのでサム・ロックウェルの株が急上昇ですわ。)f:id:osugi923:20200209115928j:imagef:id:osugi923:20200209115936j:image

次にヨーキーですが、もう見た目の性格も可愛すぎなんですわ。ジョジョが深刻な話をしても返しが良い意味で軽いというかどっしりしているというか、でもジョジョはそんなヨーキーに救わね。どんな過酷な状況下でも変わらず前を向いているヨーキー。誤って建物に爆薬ぶちかましちゃうのも君だから笑えるけど…。コメディ担当ですよね。ジョジョと挨拶の時にするハグが癒されました。f:id:osugi923:20200209115946j:image

 

ラスト、ジョジョとエルサがダンスをするシーンで終わるのが最高でした。

とにかく、全編通して演出が素晴らしかったです。素敵なシーンも残酷なシーンも見せ方がとにかく素晴らしい。靴紐を通してジョジョの成長を感じさせるところなど、言葉だけでなく様々な伏線が散りばめられていました。

オサレです。